◎出血
妊娠中の出血は大きな異常の前ぶれかもしれませんので、量の多少にかかわらず、 医師の診断を受けましょう。
妊娠初期の出血
第一に切迫流産が考えられます。初期の流産の場合、まず出血があって、下腹痛、腰痛はその後ということがあります。
他に出血の原因として考えられるのは、子宮の入口にただれができているか、頸管ポリープ(頸管粘膜にできた、いぼのようなもの)などです。
ごくまれですが、子宮外妊娠や胞状奇胎もあります。
中期の出血
初期と同じような原因が考えられます。また、まれには前置胎盤(胎盤の位置が子宮口の近辺にある場合)が原因ということもあります。
後期の出血
切迫早産が考えられます。この場合は子宮の収縮がありますから、下腹痛や腰痛をともないます。前置胎盤、ただれやポリープで出血ということも考えられます。
◎破水(羊水が出る)
妊娠中期以降、おなかは痛くないのに、なま温かいお湯のようなものがスッとおりたなら、破水と思ってよいでしょう。
破水は「羊水が流れ出ること」で、本来は子宮口が10cm近くまで開いた後に破れて流れ出るものなのですが、何かのぐあいで早く出てしまうことがあります。これを「前期破水」といいます。
卵膜が破れると、胎児への細菌感染が心配なので、一刻も早く病院へ行きましょう。
◎動悸・息切れ
妊娠末期になると、ほとんどの人が階段を登れば動悸・息切れを経験するでしょう。というのも、胎盤へ血液を送るため、妊娠していないときより血液の量が多くなるからです。妊娠8か月でふだんの1.3倍の血液量ですから、心臓の働きはフル回転していることになります。
また、大きなおなかをかかえ、体重の増加で心臓への負担も大きくなっています。
ですから、妊娠後期に動悸・息切れが起こるのは生理現象ともいえます。
しかし、あまり強いような場合は、医師に相談してください。貧血や今まで気がつかなかった心臓病の症状という可能性もあるからです。
◎むくみ
子宮が大きくなってくると、下半身が圧迫され血液の循環が悪くなります。そのため、夕方になると、靴がきつくなったり足が重く感じるようになったりします。
一晩眠るとおさまる、足を高くして横になっているとラクになるという程度なら、生理的現象と考えていいでしょう。
両足がむくみ、眠っても治らない、足だけでなく顔にまでむくみがでてきた、などというときは妊娠中毒症の疑いがありますから、すぐに医師の診断を受けましょう。
◎めまい・立ちくらみ
妊娠中は胎盤へたくさんの血液を送らなければならないので、体内を流れる血液の量が増えています。体重も増加しているため、心臓の負担も多く、動悸を感じることが多くなります。
一方、妊娠中は血管の壁の緊張が下がるため血圧が低めとなり、いきなり立ち上がったりした瞬間、めまい(立ちくらみ)を起こすことがあります。
同じ姿勢を続けない、あおむけの姿勢からいきなり立ち上がらないなど、日頃から気をつけましょう。
貧血があると、めまい・立ちくらみを起こしやすくなります。脳貧血も起きます。貧血にならないように、鉄分や動物性たんぱく質の食事をバランスよくとるようにしましょう。
脳貧血は睡眠不足、空腹、長時間立ち続けなどに、蒸し暑さなどの要因が加わると起きやすくなります。横になって安静にしていればおさまりますが、貧血を治すことが大切です。
◎虫歯
かつては、妊娠すると胎児にカルシウムをとられるため虫歯になるのだ、と言われていました。しかし、歯のカルシウム分が溶けて、胎児に利用されるので歯が悪くなるわけではありません。
妊娠中に虫歯が多くなるのは、いくつかの理由が考えられます。妊娠してホルモンのバランスが変わったり、食べ物の好みの変化、つわりなどでつらいため、つい歯磨きを怠ったりする、などが原因と考えられます。虫歯は、体調が悪かったり、体力の落ちたときになりやすいので、そのせいもあるでしょう。
どちらにしても、虫歯はほうっておけば悪くなるだけで、自然に治るということはありません。早めに歯科の診察を受けましょう。
そのとき、歯医者さんに妊娠中であることを告げるのを忘れずに。
◎不眠
妊娠後期になると、大きな子宮に圧迫されて尿も近くなります。また、あおむけに寝ても苦しい、うつぶせには間違ってもなれない、寝返りもままならない、などがあって、熟睡できない、眠れない、という人も多くなります。
運動不足も眠れない原因のひとつになりますから、昼間は散歩したり、マタニティビスクなどをして、体を動かすようにしましょう。
眠るときの姿勢は、「シムス氏の体位」(*)と呼ばれる姿勢をとるとラクでしょう。
体を横にして上になる手と足は前に出して軽く曲げ、下になる手足はうしろに引いて、同じように軽く曲げます。前のひざの下に、小さなクッションなどを置き、全身の力を抜いて、筋肉の緊張をとくと眠れるでしょう。
夜眠れないときは、昼寝するなどして、睡眠不足を補うようにします。

* シムス氏の体位
◎胎動が止まる
赤ちゃんがおなかの中で動いているのをお母さんが感じることを「胎動」と言います。だいたい妊娠5か月ごろから感じ始めて、出産の間際まで続きます。
出産の1〜2日前ごろになると、胎児が産道におりてくるために動きを感じなくなるのが普通です。ただ、毎日あった胎動が、出産直前でもないのにまったく止まってしまったというときは、すぐ病院へ行って検査を受けましょう。
◎排尿痛・残尿感
妊娠中に尿が近くなるのは生理的なもので心配はありません。
しかし、排尿したとき痛みが伴う、トイレに行った後も残尿感がある、などの症状があるときは膀胱炎ということも考えられます。
妊娠中は膀胱炎になりやすいし、ほうっておくと腎盂炎を起こしたりしますから、すぐに治療が必要です。
膀胱炎は、症状がおさまったからと治療を止めてしまうとまた繰り返すこともありますから、完治するまで治療を続けることが必要です。
◎おなかが大きい・小さい
妊娠の週数にくらべて、おなかが大きい・小さいというのは、普通はあまり問題にはなりません。というのも、胎児の成長は、おなかの見た目ではなく、子宮底(恥骨から子宮の上の端まで)の長さで判断するからです。外観での判断はあまりあてにならないということになります。
自分の感じ方や周囲の人の感想などにはまどわされないようにしたいものです。しかし、普通より大きい・小さいというときには、なんらかの要因が隠されていることもあります。
予定日の計算違い
月経不順の人の場合や妊娠していても予定月経の頃、少量の出血があり、月経と勘違いした場合などは、出産予定日がずれてしまいます。
しかし、現在は超音波断層装置で胎児の大きさがわかりますから、かなり早い時期に正確な週数はわかります。
その他の場合
おなかが大きすぎる場合は、双胎(双子)や羊水過多症、巨大児(おかあさんの糖尿病などが原因で胎児が大きくなる。体重は多くても、低血糖を起こしたり、肺が未熟の場合がある)ということも考えられます。
おなかが小さい場合は、胎児の発育が悪いこともあります。
といっても、体格が小さいだけで問題がないという胎児もありますから、医師の指示に従っていれば心配ありません。